増え続ける障害福祉サービス事業所に指導が追いついていない?国の基準の達成に向けた体制強化を

障害福祉サービス事業所における不正請求や著しい運営不備が相次ぎ、利用者へ重大な影響が生じていることを受け、厚生労働省は自治体による運営指導・監査の実効性を高める方針を示しました。2025年度から、就労A・B、グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスの5つのサービスについて「3年に1回以上」の実地指導を義務化する方針です。
本市でも事業所数が増加傾向にあるなか、国が求める基準をどう達成し、適切な指導体制を構築していくか、令和7年第4回定例会にて行った質疑についてご報告いたします。
ISSUE
数値で見る「国基準」と「本市の実態」の乖離

令和6年4月1日時点で、川崎市内の障害福祉サービス事業所総数は1,606事業所、うち国が「3年に1回以上」の頻度を指定した5つのサービスは615事業所あります。
国の基準を達成するために1年間で実施すべき指導件数は、全体で364件(うち5サービス分は203件)です。しかし、令和6年度の実際の運営指導件数は全体で110件、実施率6.8%(うち5サービス分は41件、実施率6.7%)にとどまっており、国基準との間には大きな乖離があることが分かりました。
CHECK
質疑の要点整理
- 現行体制での基準達成の難しさ: 監査担当職員は、日常業務である書類審査、苦情対応、虐待疑義事案の調査などを並行して行っており、事業所数も継続的に増加している厳しい環境にあります。
- 外部委託の限界: 厚労省は指定事務受託法人制度の活用による外部委託を求めていますが、神奈川県内の認定法人は2法人に限られ、本市からの多くの運営指導を受託することは難しい状況です。
議会での質疑応答
現行体制における国基準達成への見解について

日常業務を並行しながら実地指導を行う現行体制の中で、国の「3年に1回以上」という基準達成が可能だと考えているのか、見解を伺います。
答弁を確認する
指定事務受託法人からは本市からの多くの運営指導を受託することは難しいと伺っております。また、苦情への対応や虐待疑義事案の調査等も併せて実施しており、事業所数も継続的に増加している厳しい環境などがございますが、国の示す基準の達成に向け、可能な限り指導事務の効率化などの更なる取組を行ってまいります。
議会での質疑応答
人員増による効果・今後の取り組みについ

業務量に応じた人員投入を行い、監査に専念できる体制を整える必要性について、どのような認識か伺います。また、人員増による効果と、今後の実施件数増加に向けた体制構築への見解を伺います。
答弁を確認する
新規業務や業務量の増減等を踏まえ適切な体制整備を実施しており、令和7年度からは業務改善等の効果が見込まれる場合に一時的に職員を増員しています。本年4月にも健康福祉局障害者施設指導課に2名増員し、体制強化を図りました。
令和7年度に係長1名、職員1名、会計年度任用職員2名を増員し体制を強化した結果、令和7年11月末までの運営指導実施件数は162件、実施率は10.0%と増加しております。令和8年度以降は、より多くの委託が可能となるよう県に法人の追加を要請するほか、国から今年度中に示されるマニュアルを活用し、実施件数のさらなる増加を図ってまいります。
POINT
今回の質疑の要点と意見要望
今回の質疑を通じて、人員体制を強化したことにより令和7年度の運営指導実施率が10.0%に増加したものの、依然として国の求める基準の達成にはさらなる体制構築が必要であることが明らかになりました。今後は国から示されるマニュアルの活用や、県への指定事務受託法人の追加要請などが進められます。
これらを踏まえ、私からは以下の通り意見と要望を伝えました。
- 現場職員の努力に頼らない体制整備: 障害福祉サービス事業所数の増加に対し、現行の運営指導・監査体制では国が求める実施頻度の確保が難しく、実地指導件数を着実に増やしていくためには、現場職員の努力や効率化だけではなく、書類確認や事務作業を担う人材の確保など、業務全体を見据えた体制整備が不可欠です。
- 必要な人員体制の構築: 事務作業の分担や運営の効率化を進めるために必要な人材増については、具体的な調整を行い、必要な人員体制の構築を進めていただき、運営指導体制の構築につなげていただくことを意見・要望いたします。
SUMMARY
最後に

障害福祉サービスは、利用者の皆様やそのご家族の生活を支える極めて重要な基盤です。だからこそ、一部の事業所による不正請求や不備を防ぎ、サービスの質と信頼性を担保する「運営指導・監査」は、地域福祉の健全な発展に欠かせません。
事業所数が急増するなかで、現場の職員の負担軽減と効率化を図りつつ、国の基準を満たす実効性のあるチェック体制を作っていく必要があります。今後も、限られた人員の中で書類確認などの事務作業が円滑に分担され、確実な実地指導が行える体制が整うよう、当局の具体的な取り組みをしっかりと注視してまいります。
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関連情報
障害福祉事業所の運営指導を強化
事業所が急増する中、多くの利用者に影響が及ぶ処分事例も発生しているため、障害者が安心してサービスを利用できるよう、厚生労働省・こども家庭庁は、障がい福祉事業所の運営指導を強化する方針を明らかにしました。
川崎市の障害福祉サービス・事業所
市内の指定障害福祉サービス事業所(日中活動系、短期入所、障害児通所支援など)の最新一覧や、各区の相談窓口は川崎市障害福祉サービス事業所ページから確認できます。


