担い手不足が進む「民生委員」。一律の基準から“地域の実情”に合わせた定数見直しへ

「高齢の独居世帯が増えているけれど、地域の見守りは大丈夫かしら……」「近所に頼れる人がいない子育て世帯を、どう支えていけばいいのだろう」
そんな地域の孤立や多様化する生活課題の現場で、私たちに最も身近な相談相手として日々活動されているのが「民生委員」の皆様です。しかし現在、川崎市ではこの民生委員の「深刻な担い手不足」という大きな課題に直面し、国が示す一律の数式的な基準と、変化し続ける地域の福祉実態との間で、いま大きな転換期を迎えています。
令和7年第4回定例会にて、私が取り上げた民生委員の活動環境の改善と、本市の実情に合った定数算定方法の検討に関する質疑についてご報告いたします。
民生委員って何?
民生委員は、高齢者や子育て世帯、生活に困りごとのある方の相談を受け、必要な支援につなぐ地域の身近な相談役です。地域から推薦され、無報酬で活動しています。
川崎市公式サイト:民生委員についてISSUE
現状の問題点
川崎市の条例等では、現在は原則として「440世帯に1人」を配置することと定められています。しかし、企業の定年延長などで60代の地域デビューが遅くなっていることなどを背景に、地域を支える担い手不足が全国的な課題となっています。
- 数字の乖離と深刻な欠員: 直近の一斉改選の結果、川崎市内の定数1,930人に対して、実際の現員数は1,428人。実に502名が不足しており、充足率は74.0%まで低下している。
- 活動負担の偏り: 世帯数の増加に伴い定数(枠)だけが増え続ける一方で、住民の相談内容はひきこもり、孤独・孤立、認知症など多様化・複雑化。民生委員の約53%が活動を「負担に感じる」と回答している。
- 一律基準の限界: 相談機関が充実している地域もあれば、高齢化や単身世帯の増加が著しい地域もあり、ただ「世帯数(440世帯に1人)」だけで一律に定数を決める仕組みが実態に合わなくなっている。
議会での質疑応答
民生委員の負担軽減と「地域の実情」

今期の改選で502名もの大幅な不足が生じているなか、活動の質・量への弊害が懸念されます。充足率の改善が求められる一方、候補者選定を担う町内会の負担や、実際の 活動の量•質に支障が出ていないのかを確認しました。
答弁を確認する
地域の担い手不足により、充足率が低下していると認識しております。生活課題が多様化する一方で、専門機関の充実度など地域ごとに実情は異なり、アンケートでも負担感には差が見られました。
民生委員の負担軽減は重要であるため、地域人材の確保やICTの活用、業務分担を進めるとともに、関係団体等の意見も伺いながら、本市の実情に合った定数の算出方法について検討を進めてまいりたいと存じます。
POINT
要点まとめ
- 定数算出の見直しへ一歩前進: 市側も、これまでの世帯数ベースの一律な基準ではなく、各地区の状況や実情を勘案した「本市独自の定数算出方法」の検討に入ることを明言しました。
- 活動環境の効率化: 人材確保だけでなく、ICT(情報通信技術)の活用や業務分担などを進め、民生委員の皆様が効率的に、過度な負担なく活動できる環境づくりを並行して推進します。
SUMMARY
最後に

生活困窮や孤立、介護など、行政の窓口だけでは気づけない「地域のSOS」をいち早くキャッチしてくれる民生委員の皆様の存在は、川崎市の地域福祉の生命線です。
しかし、その善意と情熱に甘え、実態に合わない一律の基準で過度な負担を強いてしまっては、制度そのものが維持できなくなってしまいます。候補者を選定・推薦する町内会や自治会の負担軽減のためにも、机の上の計算ではない「地域に本当に必要な、持続可能な見守りの体制」へとシフトさせなければなりません。
誰もが安心して暮らせる「温かい地域社会」を守るため、新基準の策定と活動環境のDX(デジタル化)の推進に向け、これからも全力で取り組んでまいります。
MORE INFORMATION
関連情報
「こんにちは 民生委員児童委員です」リーフレット
川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室が発行している民生委員について紹介している案内リーフレットです。民生委員の活動内容や、よくある質問などがわかりやすくまとまっています。
普及啓発動画
YouTubeの川崎市チャンネルに、民生委員児童委員の普及啓発動画が公開されています。活動の一例を紹介し、身近に感じていただける内容になっておりますので、ぜひご覧ください。


