市立井田病院の経営状況と課題:収益増加の一方で赤字が拡大する要因と今後の展望

川崎市立井田病院

川崎市が運営する市立井田病院は、地域の中核病院として市民の健康を支える重要な役割を担っています。しかし、近年の決算において、診療収益自体は増加しているものの、それを上回る費用(人件費や物価高騰等)の増加により赤字が拡大する厳しい経営状況が続いています。

本ブログでは、決算審査特別委員会における質疑をもとに、井田病院の経営悪化を招いている要因や高齢化に伴う医療構造の変化、そして今後の病床運営や収益改善に向けた提案についてご報告いたします。

市立井田病院とは

市立井田病院は、中原区に位置する川崎市立の病院であり、地域医療支援病院として地域の開業医等と連携しながら、救急医療や専門的な治療、さらには在宅療養への移行を支える中核的な役割を担っています。急性期から回復期、在宅までを視野に入れた包括的な医療提供体制が求められている病院です。

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ISSUE

経常収支悪化等の要因は?

令和6年度決算における井田病院の状況は、医業収益が約82億7,000万円に対し、医業費用が約115億8,000万円となり、経常損失は約18億8,000万円にのぼりました。この経常収支悪化を招いた主な要因として、以下の点が挙げられます。

  • 収益を上回る費用の増加: 地域医療連携の効果などにより外来・入院を含めた診療収益全体は増加したものの、人件費の上昇や物価高騰等の影響を強く受け、費用がそれを大きく上回りました。
  • 高齢患者比率の上昇: 救急搬送からの入院患者のうち75歳以上が79.1%を占めています。高齢患者は療養期間が長期化しやすく、入院診療単価が低くなる傾向があるため、収益への影響が生じています。
  • 制度改定による病床実績の変化: 令和6年度の診療報酬改定で基準が厳格化されたことにより、一般病棟の患者数が増える一方で、地域包括ケア病棟の患者数が減少して算定件数が低下しました。
  • 入院料の変更: 急性期一般入院料1の施設基準を満たさなくなった結果、より報酬の低い「急性期一般入院料2」が適用されることとなりました。

議会での質疑応答

診療収益と費用の実態、および病床区分のあり方について

令和6年度決算における経常収支比率低下の主な要因や、高齢患者比率上昇の影響について伺いました。また、急性期一般入院料1から2へ移行したことを踏まえ、今後は急性期一般入院料2の役割を安定的に担うことが地域に求められる方向ではないかと見解を求めました。

答弁を確認する

診療収益自体は増加しましたが、人件費や物価高騰等の影響で費用が上回り収支が低下しました。また、高齢化による入院期間の長期化や単価低下の影響も想定されます。入院料については、施設基準の厳格化等により入院料2が適用されましたが、地域の高齢者救急や医療・在宅介護連携などへの対応が求められていることから、最適な病院経営の視点から病床の在り方を含め検討してまいります。

議会での質疑応答

地域の高齢化に対応する新たな病床機能の検討について

井田病院が地域包括の中核病院として安定した経営を確立するため、新たに「地域包括医療病棟」の取得を目標とすることが、収益向上と地域包括機能の強化の両立に資するのではないかと、今後の見解を伺いました。

答弁を確認する

地域包括医療病棟は急性期と地域包括ケアの中間に位置し、高齢者救急の受け入れ等の役割を担うものです。療法士や管理栄養士の配置など施設基準の要件が厳しいため、要件を満たす可能性や経営への影響等について、今後の診療報酬改定の動向も注視しながら検討を進めています。

POINT

要点まとめ

  • 収益と費用のギャップ: 診療収益は増加しているものの、人件費高騰や物価高騰等により費用が上回り、経常損失が拡大しています。
  • 高齢化の影響: 救急搬送の約8割を75歳以上が占めており、高齢患者の増加に伴う入院単価の低下や在院期間の長期化が経営に影響を与えています。
  • 病床機能の転換: 診療報酬改定の影響で急性期一般入院料2が適用された中、今後は地域の医療ニーズや高齢者救急の実態に適した病院経営のあり方が問われています。
  • 新たな病棟区分の検討: 高齢者救急や在宅移行支援を強化するため、要件や影響を精査しながら「地域包括医療病棟」の取得に向けた検討が進められています。

地域包括医療病棟とは

令和6年度の診療報酬改定で新設された「地域包括医療病棟」とは、急性期治療を終えた患者さんや、高齢者の救急搬送などに対応するために作られた新しい病棟区分です。従来の「急性期一般病棟」と「地域包括ケア病棟」の中間に位置し、専従の理学療法士や管理栄養士などの配置基準を満たすことで、高齢者の急な体調変化への対応や、在宅復帰に向けたリハビリテーションを手厚く行えるという特徴を持っています。

SUMMARY

安定した経営と地域医療提供体制の確立に向けて

市立井田病院は、地域の高齢化が進む中で欠かせない医療インフラです。収益が増加している一方で、それを上回る費用の膨張や高齢患者の増加による構造的な赤字拡大は深刻な課題です。

今後は、単に従来の急性期医療を追うだけでなく、地域の医療ニーズや高齢者救急の実態に見合った最適な病院運営への転換が不可欠です。地域包括の中核病院として持続可能な経営基盤を確立し、市民が安心して身近な医療を受けられる体制を整えるよう、引き続き強く要望してまいります。

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CHECK!

地域包括ケア病床のご案内(井田病院)

川崎市立井田病院が提供する「地域包括ケア病床」の役割や利用方法について、患者やその家族、および医療関係者に向けて解説している案内ページです。

地域包括ケア病床のご案内はこちら

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