差額ベッドの適切な活用で病院経営の改善を!経営課題解決の提案を行いました

今回は、本会議で行った病院経営における「差額ベッドの稼働状況と活用策」についての質疑内容をご紹介します。
全国の市立直営病院では、施設の老朽化、医師等の人材確保の困難、慢性的な赤字、制度的な制約など、共通の構造課題が顕在化しています。市立病院の収入は大半が診療報酬ですが、診療報酬には制度上の上限があり、診療件数にも限界があるため、病院独自の収入確保が非常に重要です。そこで今回は、患者満足度の向上と収益確保の両面から有効な手段と考えられる「差額ベッドの適切な活用」について市に問いました。
差額ベッドとは?
差額ベッド(特別室等)とは、一般の病室とは異なり、患者さんの希望に基づいて選ぶ個室や少人数部屋などのことで、通常の入院費とは別に「差額ベッド料(室料)」がかかる病室のことです。医療機関においては、診療報酬という一律の公定価格に制約がある中で、こうした病院独自の収入を適切に確保・活用することが、厳しい病院経営を支える大切な要素となっています。
CHECK
今回指摘した主な課題

川崎市内の3つの市立病院(川崎病院・井田病院・多摩病院)の稼働状況や、それぞれの料金設定を見ていく中で、次のような課題が明らかになりました。
- 川崎病院の有料病床利用率の低さ: 令和5年度の実績で、有料病床利用率が川崎病院は33%となっており、他の病院(井田病院41.6%、多摩病院41.2%)と比べて低い数字となっています。
- 救急医療などの特殊事情と個室割合: 川崎病院では、救急受入れ数が多いことや、感染拡大防止・重篤な患者の療養管理などで「差額負担なし」で使用する割合が相対的に高くなっている背景があります。
- 料金設定と需要のミスマッチ: 川崎病院の個室料金表を精査すると、面積は同じでありながらテレビや冷蔵庫が無料か有料かの違いで価格が分かれている部分があり、利用率や有料利用率にばらつきが生じています。
議会での質疑応答
川崎病院の有料病床利用率が低い理由は?

川崎病院の有料病床利用率33%が3つの病院の中でも低い数字と分かります。有料病床利用率が低い理由を具体的に伺います。また、井田病院では、差額ベッドの稼働率が低迷していたことから、令和5年11月に料金体系を見直し、特に中価格帯の設定不足を是正しました。見直しに伴って実施された効果及び設備に要した費用及び工事日数について具体的に伺います。
答弁を確認する
川崎病院では感染防止や救急・術後等の医学上の必要性、さらには満床時の一時的な病床調整によって差額負担なく使用する例が多いことや、全病床に対する個室の割合が少ないことなどが理由として挙げられます。
一方、井田病院では、利用率が低かった1万8,700円などの室料について、テレビ・冷蔵庫を原則有料化しつつ室料自体を低くする見直しを試行・本格実施したところ、対象室の有料病床利用率が平均20.2%から34.7%へと増加する効果が出ています。
議会での質疑応答
井田病院の成功事例を踏まえた稼働率向上策

患者満足度向上と収益確保の両面から、川崎病院でも井田病院の成功事例を踏まえた稼働率向上策を検討すべきではないか伺います。
答弁を確認する
病院経営は診療報酬を基本としつつも、物価高騰や人件費の上昇による経費増の影響で非常に厳しい状況にあります。
そうした中でも不断の経営改善の取組は必要であり、井田病院のように個室使用料の設定金額を見直して稼働率を上げ、収益増につながっている事例がありますので、川崎病院におきましても今回の取組成果を参考に、経営改善に向けた一層の取組を検討してまいります。
POINT
要点まとめ
- 全国の市立直営病院は老朽化、人材不足、赤字などの構造課題を抱えており、上限のある診療報酬以外の独自収入確保が重要である。
- 令和5年度の有料病床利用率は、川崎病院が33%であり、井田病院(41.6%)や多摩病院(41.2%)と比べて低い。
- 川崎病院は救急受入れや病床調整等で差額負担なしで個室を使う割合が相対的に高いことが影響している。
- 井田病院では中価格帯の設定不足を是正する料金見直しを行い、有料病床利用率が向上する成果を上げている。
- 川崎病院においても、井田病院の成功事例を参考にしながら、価格改定や需要分析を通じた経営改善に向けた取組を検討する方針が示された。
SUMMARY
病院独自の収入確保の視点を

病院経営を取り巻く環境が全国的に非常に厳しさを増す中、診療報酬に頼るだけでなく、病院独自の収入をしっかり確保していく視点が不可欠です。とりわけ、差額ベッドの適切な活用は、患者様の満足度向上と病院の収益確保の両面において大変有効な手段です。
井田病院での成功事例を踏まえ、川崎病院においても価格改定や需要分析、設備整備などを通じた稼働率の向上策がしっかりと進められるよう、引き続きしっかりと働きかけてまいります。
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関連情報
川崎市の市立病院
川崎市が運営する市立病院は、区ごとに設置された3つの本院体制(川崎病院、井田病院、多摩病院)となります。川崎市病院局が運営する公式サイトでは、川崎病院、井田病院、多摩病院という3つの市立病院の情報を一括して管理しており、利用者が必要な情報に素早くアクセスできるよう工夫されています。


